21 生きる力
今年の春から、仕事上で新しいプロジェクトをメインで行っています。それは、これまでの仕事よりランクが上・・・と聞くと格好良いのですが、実は、前例の無い事なので、正に手探り・・・しかも、会社側が何年も前から実行したかった大きな事なので、その期待も肩にのしかかっています。
更に、一日の半分は(所属している)本部の経理で仕事をし、午後は出張・・・という事が度々あり、プレッシャーと体力的な疲れで押しつぶされそうになる事もあります。
そんな時、いつも思い出す女性がいます。その方の名前はモリー・ギレン博士(Dr.Mollie Gillen)。モリー博士はオーストラリア生まれで、後年、カナダに移住された伝記作家。「赤毛のアン」の著者として有名な、カナダの作家L.M.モンゴメリの伝記の執筆にあたり、貴重な資料を発見をするなど、モンゴメリ研究のパイオニアであり、素晴らしい功績を数々残された方です。日本では「赤毛のアンの世界」(新潮文庫)「運命の紡ぎ車」(篠崎書林)という書籍が翻訳出版されています。又「モンゴメリ書簡集」としてやはり篠崎書林から出版された書籍に綴られている書簡は、モリー博士が発見されたもので、この発見により、モンゴメリ研究が飛躍的に進んだ功績は、現在のモンゴメリ研究者達の間では伝説の如く語り継がれています。
・・・とはいえ、私はいわゆるモンゴメリ研究をしているわけではなく、なので、上記は書籍に書かれていることや、友人から教わったことです、念のため・・・
話がそれましたが、そのモリー博士は、今年の1月に長寿を全うされました。とても悲しい事でした。
それから遡る事約2ケ月、昨年の11月に、有難い事に私はモリー博士にお目にかかる機会を頂けたのです。
きっかけは、友人のyukazineさんが、以前よりモリー博士と交流を温められていらっしゃり、ご自身のブログに「モリーさんの11月のお誕生日に、日本のファンの皆さんからのメッセージを」と呼びかけて下さった事でした。ちょうど私は11月にカナダ帰省を予定し、トロントに数日滞在することも決まっていたので、カードでメッセージを送るのも良いけれど、実際に訪れて手を握って「有難う」が言いたかった・・・そんな私の希望をyukazineさんが、ご自分の勤務シフトを変えてまで叶えてくれました。
2008年11月7日。その日はやってきました。
もし、私がもっと彼女の功績に対して詳しければ、あるいはモンゴメリ研究家だったら、偉大な研究家、偉大な先輩として震えが立ったと思います。でも、無知な私は、実は別の事で、心の中が感動ではじけていました。それは、私を紹介してくれるyukazineさんの言葉を、寝たきりでも耳を傾け、「lovely lady」と相槌を打ちながら、私の手を「ぎゅうっ!!」と握ってくれた時でした。右手と心で、モリー博士の、表現するなら「生きる力」を感じたのです。あの感触は、半年以上たった今でもはっきり右手が覚えています。上手く伝える文才が無いのが悔しいのですが、正にあれはオーラでした。凄かった!!!素晴らしかった!!!あの日以来、辛い事、大変な事がある毎、あの手の感触が蘇り、その毎「人生蓄積真っ最中」とエールを貰っている様な気がしてならないのです。
そして、冒頭で話した現在の仕事で疲れている時、前例のないプレッシャーに目の前が不安な時は電車移動の中で、いつも、彼女の手の感触と「生きる力オーラ」が蘇ります。そして、思うのです。モリー博士が、モンゴメリの資料が乏しかった時代に、どれだけ前例のない冒険をしたのだろう。素晴らしい発見をするまでの御苦労はどれだけだっただろうか・・・これは、無知でも想像は出来ます。
といっても、想像を絶する事だと思いますが・・・そういったモリー博士の人生が、あの「生きる力」オーラとなっていたんだと、今、切々と感じています。だからこそ、今の私の力になってくれているんだと!
私はモリー博士から、素晴らしい書籍だけではなく「生きる力」を貰ったんだと、現在の忙しい日常の中でいつも感謝しています。また、その素晴らしいひと時を与えてくれたyukazineさんにも、心から感謝しつつ、本日も元気に出張してきた次第です(今月はあと5回)。
生きている時間の中で、教えを乞う事が出来る一瞬一瞬を大切にしたいと思います・・・そしていつか、私も私なりの「生きる力」を後進に伝えられる日が来れば・・・と人生の一つの目標にしています。
モリー博士のご冥福をお祈り申し上げます・・・ただ、私の中では生きていらっしゃいますが・・・
(2009.5.13)