07 弱い部分
「この際、弱い部分を書いてしまおう」
時を遡ること10年前の、1995年5月21日。この日は私にとっては抱えきれないどの期待と、スプーン一杯の不安を胸にカナダに出発した、私にとっては「出発の日」そして、「運命の日」でした。
この日から丸々1年、366日(1996年は閏年でした)の日々を、12ヶ月ではなく、12年分の重みがあると感じた程に、様々な出来事の中過ごしました。
そして今年、2005年5月21日(土)。 私にとっては「あれから10年」の特別な日でした。かなり前から、この日は思い出にどっぷりと浸かろう、何か特別なことをしよう、など、いろいろと考えていました・・・
ですが、実際にこの日を迎えた時に、一番思ってしまった(本意では無かったのですが・・・)ことは「人間に、自らの未来(将来)を透視する能力が無いことを、今ほど有り難いと思ったことは、無い」ということでした。10年前の、希望に満ちた私が現在の私を見る事が出来ていたらきっとがっかりするだろうと感じずにはいられないからです。
ここまで読んで下さった方、どうか誤解無きようにお願いします。私の毎日は、客観的に見れば決して特別な不幸ではありません。平成不況の続く中で、キャリアを生かした仕事に就き、ライフワークの国際活動も、地道に、でも確実に可能性が広がっています。家族も仲良く暮らしており、良き師、友にも恵まれています。
けれど、毎日の重責に押しつぶされそうな今日この頃に、心が輝けていない今の自分がちょっとだけ可哀想なのです。
現在の勤め先は、この不況の中、どんどんと事業を広げて、わずか2年で従業員の数が3倍以上になりました。今年も新事業を始めます。ですが、何分若い会社であることと、猛スピードで規模が広がったことで、それ故の
特別な大変さ、空気があり、そんな中で経理指導だ、前例の無い事だ、とこなして来ました(これは若い会社や、オープニングスタッフというものを経験された方以外には理解に苦しんでしまうことだとは思いますが)。
そんなスピードや、頭の切り替え、責任というものついてこられずに去って行った人も多く、そう言った方々の行動が元で、他では絶対にあり得ない(私は何社も経験していますが、これは他ではありえなかった!!!)
大変な事があり、さすがにオーナーが特別な措置をして下さった程でした。
当時を知らない後輩達に話す毎、本当に驚かれますが、何とか続いたのだから私ってば一体・・・。そして気が付いたら年上の後輩を何人も抱えた状態で、役職を賜りました。ただでさえ重責をになっていたのが更に・・・それも、まだ人間としては決して大きいとは言えない私が、年上の後輩(部下と言う表現は使いたくないのです)の仕事上の悩み相談まで受けている・・・キャパの限界だ!と叫びたい・・・
先日新聞を読んでいたら、小中学生に「将来の夢は?」と問うと「公務員か正社員」と答える子が多いとありました。現在の日本はそれだけ正社員になるのが難しい世界で、そんな現状では、私の言っていることは思いっきり贅沢だと感じます。でもその反面、他人のそう言った意見で、本当は苦しいのに「贅沢」と思おうとしている自分に対して「おまえは逃げている」とも感じてしまうのです。
10年前のあの日、私は自分の道を確実に見つけて、前を見ていました。出発前まで勤めていた会社はとても良い会社で、深夜残業も苦ではなかった程でした。もしも、世間体というものを重視すれば、そのままが安泰、という一言でしょう。
でも、自分にとっての道はカナダに行くことでした。一生に一回だけ許される貴重な経験への道へ、自らの足を進めることでした。そこには回りの目や、意見はどうでも良かった、自分で決めて、自分で納得した、自分の意志がありました。そう、若かったからだけではなく、確かに、輝いた自分が居たのです。そして、あの1年は、その1年で終わりではなく、その後の私の「始まり」になりました。
その、カナダでの日々の中「ワーキングホリデーが終わった後に、そのまま別のビザに切り替えて残るべきか」悩んだ時がありました。幸いにも、カナダにたくさんの良き友と、素晴らしい家族たちに恵まれた私は、彼らが自分たちの暮らすカナダでの現実から逃げずに暮らしている姿を見て、私の本来のいる場所である日本で頑張ろうという気持ちになりました。日加交流は現地で暮らすことだけではない、自分の国で架け橋になればよいとの決意を胸にしていました。だから・・・10年後のくたびれている自分をあのころの彼女が見ることが出来ないのは本当にラッキーです。
別項の「未来への切符」の続きを書けなくなってだいぶ経ちました。忙しかったというのは半分言い訳で(半分は事実)あの輝いていた日々に浸ってしまうことが少し怖かった・・・鮮明すぎるくらいに細かいことまでしっかりと覚えているし、滞在中に書いた日記も、帰国後直ぐに原稿用紙にまとめたものもあるのに、なかなか
進めなかったのは、現在の輝いていない自分と向き合うのが辛かったから・・・
けれど反面、書きたい気持ちはとても大きく、なのでここで弱い部分を活字にしてしまう事にしました!これですっきり、書けそうです。乞うご期待!?
(2005.5.23)